フィンランド、アアルトが内装を手がけたレストラン「Savoy」は、フィンランドのセントラルパークでもあるEteläesplanadi (エスプラナーディ通り)沿いにあるビルの最上階を含む7,8階にある老舗レストランです。
創業は1937年で、伝統的なフレンチをベースにフィンランドの要素を加えた料理を提供しており、今も元フランスのミシュラン三つ星レストランのシェフがその伝統を守っています。

落ち着きのあるアアルトの空間構成
エスプラナーディ通りには、大きな建物が建っているだけではなく、通りに沿った公園があり、緑豊かな洗練された都市空間を形成しています。ビルに囲まれた雑多な空間でないのがなんとも心地よいです。
老舗感のある素敵な建物にはいるとまずエスカレーターのデザインがレトロで高級感のあるもので、非常に建物にあっていました。日本ではどこに行っても同じようなエレベーターですが、昔の良いものは残しておく文化は、入り口に入る前から考えさせられます。


アアルトのインテリアと美味しい食事を堪能できるとあり、本当に楽しみにしていたこの空間。
画像、写真で観ていたあの空間。
いざ中に案内された時は舞い上がる気持ちでした。
1937年のオープン当時から近年改修されましたが、当初からのアアルト夫妻のこだわりを継承しつつ、現代にあわせたファブリックに刷新したことでもインテリアとしては話題になっていました。
第一印象は、「アアルトのメソッドが詰まった、熟練されたトータルコーディネート」。
どこを見ても、隙のない豊かな空間。かといって派手さやキャッチーなものや主張するものがいい意味で無く、とても豊かな空間を作り上げていること。料理の邪魔にならないよう、むしろ引き立てるデザインがされていること。
(こちらで紹介する全ての室内の写真は、お客様がまだいなかったオープンしたての時間だったので、お店の許可を得て撮影したものです)
座席は、入り口を入ってすぐの大きなダイニングスペース。
中央には大人数、サイドには少人数の利用ができるようになっています。

テラス席は、別のインテリアを使用し、開放感、奥行感のあるスペースにあわせ、どの場所からも建物の周囲を眺めることができます。
都心とはいえ、8階でここまで観られるのは都市の建築が低層であるからなんですね。

どこを切り取っても絵になるとはこのことでしょうか。
サンルームのようになっているスペースもありました。
夏の短いフィンランド。
夏は外が良いけれど、冬はテラスでも屋根付きが好まれるのでしょうね。
同じテラスでも種類毎に家具の選定も異なっていました。

店舗の空間構成として、気がついたのは以下の点。
・入り口からほとんどの方面を見渡すことができ、空間の豊かさを感じさせる
・天井が適度な高さに抑えていて、傾斜させている(室内もそのようなデザイン)
・光がどの場所でもたっぷりと入ってくる
・どこからも視線の抜けがあり、外とつながりを持てるようになっている
・近すぎず遠すぎない座席配置
これは、住宅の設計での要となる部分と同じです。
住宅のように落ち着く空間だからこそ、皆様ゆっくりと食事と会話を楽しんでいました。
魅せる空間 < 人が自然に過ごせる空間
日本での商業空間は古くなったら壊して作り直す文化であり、アイキャッチになるようなものが多かったり、価格重視なものが目に見えてわかったりと食事と空間が別に感じることも多々ありますが、このアアルトの空間づくりが崩されることなく今も続けていられるフィンランド人にも拍手を送りたいです。
光・色・素材の豊かさ
アアルトの空間構成の中の大きな要素として、インテリアもアアルトデザインであるということ。
実はこれはなかなか難しく、建築家が店舗のインテリアのファブリックまで指定することはあっても、自作のデザインを取り入れる機会はなかなかありません。既製のプロダクトからセレクトすることが一般的です。
アアルトだからこその素材感、色彩、そして光としての照明の配置や太陽の光の取り入れ方についても気がついた点を特記しておこうと思います。
・木質感のある居心地の良い家具、厳選された素材、植物がふんだんに使われている
・家具や照明は色々な種類がありファブリックもそれぞれだが、統一感がある
・椅子の座面は低めでゆったりとしている
・ファブリック以外は色を限定していて、落ち着きのある構成になっている。
・照明は最低限、テーブルを照らし、落ち着きのある雰囲気を演出。
・光はふんだんに取り入れているので、自然光に当たるファブリックの質感や木質のあたたかみがより増して雰囲気を出している
インテリアも空間構成と同様、住宅の要素、アアルトらしさが溢れており、なおかつフレンチレストランというシーンでも相応しい上質な天然素材を使って構成しています。
カラーは抑えられているにも関わらず、自然光と天然素材やファブリックの温かみが織りなす色が豊富で心地よく、暖かくダイニングに向かい合うことができます。
飲食店では経年劣化やメンテナンスの観点から天然素材は避けられる傾向もありますが、その経年劣化が逆にこなれ感、老舗感を出しており、刷新されたファブリックと相まってさらに洗練された空間づくりがなされています。
さて、サヴォイで使われているアアルトのオリジナルの家具や照明ですが、フィンランドの街では多くの場所に、「ゴールデンベル」が使われています。
こちら↓ (クリックするとサイトに飛べます)

日本でも北欧のデザイナーズ照明を多く取り揃えているヤマギワさんなどが扱っていますので、自宅でも木質空間にあわせてゴールデンベルを配置するとsavoyやフィンランドのレストランのような空間が実現するかもしれません。
さいごに
アアルトらしいcozyな空間作りは住宅だけでなく、レストランにも当てはめることができることを体験することができました。
居心地の良さはまさに、人間の生活に寄り添ったシンプルなデザイン、そして自然素材の活用。
くつろぎつつもお料理と会話を楽しめる場として、とても素敵な場所でした。
ちなみに肝心のお料理は、というと、味も見た目もサービスも最高でした。
価格帯としてはコースのみの注文になるのと、ユーロのレートにもよりますが現在は円安なので、高級フレンチ位のイメージです。
写真は一部ですが、オリジナルのビールやオリジナリティ溢れる綺麗なお料理。テラスで育てているハーブを使ったフレッシュ感のあるアロマも非常に良かったです。日本の食材がいくつか使われているのも面白かったです。抹茶とか。




サービスも良く、通常フィンランドではサービス料は支払わなくて良い(含まれている)と言われていますが、ここではチップも支払いました。
予約は、お店のHPより可能です(英語かフィンランド語)。
この日は予約の段階では、ストライプのソファの1席しかあいていなく人数的に狭いかもしれませんが、広めにとれるように努力します、というような内容で一応予約を受け付けてくれましたが、当日来てみると、この広々としたテラス席に案内してくれました。
キャンセルが出たのかもしれませんが、気候も良かったのでとても気持ちよく過ごすことができ、とても嬉しく感じています。
住宅もレストランも、誇張することなく、スマートで居心地の良さを提供できる建築家、アアルト。
そして、その建築が今も長く使われていることが、何よりも、どんな時代でも人々に愛される優れたデザインである証拠です。
自身も居心地の良さを求めて、これからも自然素材について、建築、インテリアについて深めていこうと感じる素敵な機会になりました。
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